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インフォメーション

2016

03/23

理事長コラム 徳丸ゆき子さんの講演を聞いて。

応援メッセージ

3月19日の土曜日-「ふーどばんくアクション申【MONKEY】もったいないをありがとうに2016」が、大阪市内の旭区で開催された。

子どもの貧困をテーマに大阪こどもの貧困アクショングループ(CPAO/シーパオ)代表の徳丸ゆき子さんの講演を聞いた。

「子どもを貧困から救済しよう」との主旨でネットワークを立ち上げ、各地を飛び回っているそうである。
講演の中で印象を持ったのが、「身なり等で支援者側がキャッチすることが可能な子はまだいいです。非行で外に出る方がマシです。」「でも引きこもりや不登校の『助けて』と自ら言えない子どもたちを支援へひっぱりこむのはとても難しい」と語られた実践は、奥が深い言葉であり、居場所と出番を応援するとは簡単に言うが、「子どものSOS」をキャッチすることの困難さは、容易でないことが徳丸さんの講演から理解できる。

また、大阪子どもの貧困アクショングループの活動も特徴的で、行政では考えつかない「ほぐす」と銘打って支援を開始するところからスタートするというユニークな発想だ。
「まずはごはん!」という入り口から、少しずつ関係づくりをおこない、やっと困っている親・子どもたちがいろいろ語れるようになるその語りから得た情報を元に必要な支援につなげると言う。糸を紡ぐ、たどり、絡まった糸をほぐしながら信頼を得る。
気の遠くなりそうなチャレンジだ。「子ども食堂」もほんのきっかけづくりでありそこからがスタートだと熱っぽく語られていた。

現在のふーどばんくOSAKAの活動では、食のムダを省き流通させることを第一義としており、「まずはごはん!」をなんとか支援することは出来ているが、そこから一歩も二歩も子どもや母子家庭の母親の安心や信頼というところまで迫り切れていないのが現状だ。

このくどいような説得にパワフルな徳丸さんのパワーが感じ取れる。
「周りに迷惑をかけない人なんてちょっと怖いわ。」「みんな何かしら手伝ってもらって、迷惑をかけて必死に生きている。」と徳丸さんは語る。
人に助けてとは、なかなか言わない。それこそ死んでしまうまで言わない母親だっているという。
「この活動、志すなら覚悟を決めてかかってこい」と言われているような気になった。生半可な気持ちやちょっとしたボランティア精神で、”居場所と出番”を求めるとカッコつけた市民活動など、それこそ「おととい来やがれ!」という迫力だ。

「つまり、信頼は、言葉と行動だ」と思わず納得。ごく身近に関わる仲間が説得する力は行政の言葉よりも何倍もあるんだと再確認。「働くとか、家の中をかたづけるとか、それこそ子育てなど、目の前の崩壊しつつある家にとっては無意味だ」と徳丸さんは続ける。
「とにかくお腹いっぱい食事して」「お風呂入って」「洗濯した新しい服を着て」からがスタートだと話された。

ふーどばんくOSAKAの定款の目的の項では、「第3条 この法人は、社会福祉施設及び無償で食事提供サービスを行っている非営利団体や社会的支援を必要とする人に対して、企業、食品生産者、卸業者、小売業者より無償で余剰食糧の提供を受け、余剰食糧の分配などの支援事業を行い、非営利団体の健全な発展と活動の活発化を図るとともに、社会福祉に寄与することを目的とする」と明記されており、この社会的支援を必要とする人
に対して、という目的の達成度が問われているようだ。
「まずはごはん!」という食糧確保には、なんとかメドが出てきているが、社会的支援を必要とする人に対して、食だけを提供するフードバンクから一歩・二歩の進展が、貧困と社会的排除がひろがっている大阪においては、必要となってきているとの自覚と行動が求められてきているのだと思う。単純な食料の流通のムダを省くと言うことだけではなく、社会的排除に抗うふーどばんくOSAKAの活動領域拡大が”まったなし”のようである。